待ち合わせの星に来ない

感性のリハビリ


about

ひと月ほど前に誕生日を迎え自分を振り返った時、趣味がないことに気づいた。いや、自分が趣味だと思っていた本や映画や音楽に対して情熱がないことを自覚した。
好きな本を聞かれれば答えられる。好きな映画について話し合うのは楽しい。
でもただそれだけのことで、読書や映画鑑賞そのものを楽しんでいたわけではないようだ。

はてそうなると、私が好んでいることは全てそんな調子であると思い知らされる。
おいしいものが食べたい。似合う服を着たい。イカした漫画が読みたい。
数年前いまよりもう少しあらゆるものに興味があった頃、例えばおすすめの小説やドラマに対して「それっておもしろい?」と尋ねる人を内心馬鹿にしていた。自分で確かめて自分で決めろよ。
けれども気づけば私も同じになっていた。ようはハズレを引きたくないのだ。
自分にとっての当たりかどうかは引いてみないと分からないのに、そんなことは分かっていたのに、いつからこんなつまらない人間になってしまったんだろう。
結果として、社会人になって数年、私の好きなものはほぼ更新が止まっている。当たりのコレクションを確認して安堵するだけの日々では当然だ。

この事実に気づいて私は素直に落胆した。
しかし信念もアンテナも持たないただのミーハー女に成り下がった私はここからどうやって自分の情熱を取り戻せばいいのか分からない。
ひとり途方に暮れる1LDK。目の前には膨大な未読本、アマゾンプライム契約済テレビ。

私は、私は、とりあえず、幸い手の届くところに溢れていたこれらを片っ端から引いてみようと思う。
そうしたら好きなものの一つくらい増えるだろうし、もしかしたら趣味と呼べるくらいの情熱が湧き出てくるかもしれない。上手くいかなかったとしても、語る言葉くらいは増えるだろう。

という背景で書く、摂取カルチャーの記録です。POPEYEで連載してえ。

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