待ち合わせの星に来ない

感性のリハビリ

川端康成『山の音』

どうしようもない、老いは本当にどうしようもない。自分がいつか死ぬということ、この瞬間も確実に一歩一歩死に近づいているということ、私はまだ若いので実感がないが、いざ自らの老いに直面した時、それはどれほど受け入れ難い問題であろうか。 そして老い…

lovelytheband『Finding It Hard to Smile』

どっかのショッピングモールで流れていて、Siriに教えてもらったバンド。バンド名とメンバーのルックス、曲の感じが全部意外。 かかっていたのは『Broken』で、MGMTの『kids』っぽさがある。この感想は100人中80人が言いそうだ。 英語が得意ではないので細か…

never young beach『fam fam』

先日見た『緑色音楽』に彼らの曲が使われていて、そこから数日妙に耳に残ったのでアルバムを聴いてみた。 そしたらなんだよめちゃくちゃいいじゃんか。もっと早く知りたかったわ〜と嘆いていたら、「最近はシティポップがきてる」とか言って2年くらい前の飲…

スタンリー・キューブリック『2001年宇宙の旅』

見てきた。IMAXで。ただただ身を委ねるしかない3時間を過ごすにIMAX環境は至高だった。 例のトラップシーンは最大限の音響と映像効果で、本当に自分が流れに呑まれているみたい。私は初見だったので、何が何やら分からぬまま濁流に身を任せていたのだけど、…

マースティン・スコセッシ『沈黙ーサイレンスー』

遠藤周作の小説の中でも特に『沈黙』が好きなので、発表から50年を経てしかもハリウッドで映画化すると聞いたときは驚いたし、別に見なくていいかと思った。小説そのものがもう完成されていて、実写化によって新たな何かが生まれるとは思えなかったから。結…

山中瑶子『あみこ』

『緑色音楽』を見て大下ヒロトを好きになったという話を書いて早々、彼が出ている映画があると知ったので早速行ってきた。夜のミニシアターに訪れる人間は思春期に燻った自意識が今も焦げついているはずなので、あみこのパンチがささる。主観。 「こじらせ」…

中村佳代『緑色音楽』

タイトルの緑色はグリーンリボンという臓器移植の普及のシンボルからきており、この映画はそのキャンペーンの一環で作られたもの。だからたくさんの人が見られるようにしばらくYouTubeで見られるようになっていて、結局公開が終わる間際になってやっと見た。…

安部公房『箱男』

ハズレを恐れずに目に入ったものから摂取していくと高らかに宣言したのもつかの間、人は簡単に変わらないもので当たり中の当たりであることが既に明らかになっているこの本を手に取った。 初めてこれを読んだのは大学生のときで、小説の皮を被った文章の実験…